気侭日記

好き勝手に綴る腐女史日記。


誕生日おめでとうSS?

「青の原ヴァージョン」、ルルーシュ誕生日おめでとう小話…のつもりだったのだけど、なんか妙に間延びしています。しかもまだ、ルルーシュが出てこないです。が、とりあえず、自分を追い込むためにも途中までですがUPしておきます…

あ。「青の原ヴァージョン」なので、遺伝子上のスザクの息子などのオリキャラも出ています。オリジナル設定が苦手な方はご注意ください。

…でもね〜。私の頭の中で、青の原ヴァージョンのルルスザが一番幸せなんだよね〜。
このスザクは本気でルルーシュのものだから。
ルルーシュのために目覚めて、ルルーシュのために生きるから。
しかも年齢差有り、体格差有り!ここのルルスザなら、お姫様抱っこが可能!

と言うことで以下、妄想文です。







講義がない時間帯、スザクは図書館に入り浸っている。
着任して2週間ほどしか経っていないが、敷地の北側、少し小高くなった丘に立つ図書館の2階閲覧室、南側窓際の机がスザクの指定席となっていた。
他の建物に邪魔されることなく空を見ることのできる特等席だ。

士官学校では教官生徒ともに、本より格闘の肉体派が多い。余剰時間の過ごし方として図書館を選ぶ人間は少なく、図書館の主であるブラウン女史にスザクはすぐに気に入られた。

本来スザクも頭を動かすより体を動かす方が得意だ。
しかし、コールドスリープの追跡研究も含め、身体のことは専門の医療機関に任せている。計画に沿ったリハビリを継続しているため、勤務先の士官学校のトレーニングルームはあえて避けていた。

実際、スザクが学ばなくてはならないことは多い。
安穏とした生活を送ることも可能だが、それでは何のために目覚めたのか解らない。

スザクには望みがある。

ルルーシュの傍らに立つこと。ルルーシュを支えること。
そのためには、それだけの力を取り戻さなくてはならない。

リハビリを続けて、人並程度の体力は回復したと思うが、ルルーシュの騎士であったころのそれには程とおい。

軍部指揮官を育成する機関である士官学校は、多方面で最上級の設備が整っている。
スザクが入り浸っている図書館では、各机の端末に機器を接続して一般では入手不可能のな報を読み込むことも可能であったし、オンラインに載せられない機密事項に近い情報も、マイクロチップのアナログ状態で、相当量が書庫に管理保管されている。

長いコールドスリープから目覚めたスザクが、ゆっくり現実を知り、社会に適応して行くための環境が、これ以上ない最良の形でルルーシュから与えられている。

護られている。こんなところまで。
ルルーシュの腕の中で護られている。

その自覚はどこか甘いが、同時に自分の無力さが苦かった





スザクが18年間眠っていた間に、世界は激変していた。

眠る直前に、合衆国日本の初代大統領であるルルーシュが、ブリタニア帝国の新皇帝となったシュナイゼルと講和条約を結んだ。
(彼からの密使は、スザクの良く知っている人間だった)

確かに、世界は和平への道を歩みつつあった。
きっと、平和を築きあげられる。スザクは確信を持っていたが、その根拠は、力強くスザクに誓ったルルーシュのゆえだ。

『お前が目覚めるとき、お前が自然に笑えるような…そんな平和な世界を創る』

自信家で優しい王。スザクの唯一の主。
ルルーシュを信じていたが、本当にこんな平和で穏やかな世界になっていたことに感動を覚える。

合衆国日本軍においても、自衛的な小さな小競り合いこそ数え切れないほど存在するが、何万人規模で死傷者の出るような戦闘は久しく行われていないと、目覚めた後に見舞いに来てくれたロイドから聞き、スザクは大きな目をさらに大きく見開いて驚いた。

「君、驚きすぎ」
「はい…」

ロイドの具体的な言葉は、極端ではあるが端的で解りやすい。
その説明で理解した世界に、スザクは本気で惚ける。
そんなスザクに、ロイドは変わらない深みのある笑みを見せた。いや、眠る以前に見ていたそれよりも、さらに奥の見えない深みを内包する笑みだ。
そんなところにもスザクは、確実に過ぎ去った年月を感じる。

「そんなにびっくり?」
「…浦島太郎になった気分です」
「ああ。日本の昔話だっけ? 知り合いがだ〜れもいなくなっちゃってたってやつだね。でもスザクくんは違うでしょ?」
「…そうですね。僕は違う」

もう2度と、会えないかもしれないと覚悟をして眠りに就いた。

だが。望外の幸運。
この世界にはルルーシュがいる。ロイドが、セシルが… 

みんなが笑える、穏やかな世界で。

ロイドが話してくれた今の世界。じわじわと実感が湧いてくる。
世界を開くきっかけを作ってくれたロイドはかなりの変わり者だが、根本で優しい。彼が説明してくれた言葉は、すべて手放しで受け容れて良いのだ。

スザクの頬が緩む。ゆっくりと笑みが浮かぶ。

「いや〜。本望だろうねえ、ルルーシュ閣下も」
「え?」

ロイドの言葉はいつでも唐突だった。スザクにはその発着点が見えないことが多々ある。今回のセリフの意図も読めない。

「ルルーシュ閣下も本望だろうって言ったの」
「ええ。本当にルルーシュ、努力したのでしょうね」

病に倒れる前のスザクは、ルルーシュの騎士として、その片腕として、他の誰よりも彼の傍にいた。誰よりも近くで共に最前線を戦っていたからこそ知っている。

ルルーシュが征こうとする道が、どれだけ困難な道だったのか。
やり遂げるまで、どれほどの決意と覚悟と犠牲があったか…

だから、誰よりもスザクはルルーシュの心情を理解し、偉業に感嘆する。
同時に。だからこそスザクは寂しさを感じずにはいられない。

…自分が居なくても、ルルーシュは見事にやり遂げた。
その事実が、スザクには少し寂しい。

「う〜ん。スザクくんはやっぱりスザクくんだねえ」
「何がですか?」
「寂しいって思ってるでしょ」

そんなに解りやすく表情に出てしまっただろうか。スザクは困惑する。
それでは、ルルーシュに向かい合ったとき、彼に負担をかける。

「ん〜。ボクが言っちゃうのは簡単なんだけど、それじゃあルルーシュ閣下に怒られちゃうから」
「?」
「うん。そうだね。閣下はかなりこわ〜い人だし。うん。そう。閣下の馬に蹴られたら死んじゃうし」

ロイドのそれは会話ではない。独り言だ。
スザクの疑問には一切頓着せず、ロイドは自分の思考の中で結論づけた。

「ロイドさん?」
「うん。まあ、スザクくんは閣下を労ってあげればいいから」
「…はあ」

含みのありそうな発言の数々は何だったのだろうか。
だが、納得してしまったロイドの思考をひっくり返すだけの材料を持っていない以上、スザクのどんな言葉も届かない。それは充分するほど解っていた。
スザクは意味深げなロイドの言葉に、首をかしげた。







「枢木講師、一休みしませんか?」

すっかり顔なじみになったジーン・ブラウン司書がスザクに声を掛けた。
50代のベテランの彼女は、図書の生き字引と言われるほど、館内外の資料に精通しているこの士官学校附属図書館の主だ。

有能な彼女には、「もっと上のポストを」との誘いもあったようだが、現場の司書であることに誇りを持っている彼女は、その話を固辞しているようだった。

「ありがとうございます」
「枢木講師は、甘いものは大丈夫かしら?」
「はい」

ブラウンは、司書の制服に身を包んでいるが、普段は善良な一人の母親なのだろう。
何度も振舞われている彼女の手作りのお菓子は、砂糖が控えめで小麦の風味が際だっており実に美味しい。

本来、彼女とスザクにそこまで年齢差はないのだが、彼女の目にスザクは、自分の子どもと同じようにみえるらしい。
その好意をスザクは素直に受け容れている。かつて得ることのできなかった当たり前の穏やかさに、スザクは感謝していた。







違和感に気づいたのは学内ではスザクが一番早かった。
スザクのそれは、戦いの最前線にいたからの経験値だ。ほんのわずかな違和感。空気の変化を肌で感じた。

「どうしましたか? 枢木講師?」

司書室の片隅にある談話スペースで、それまで穏やかに歓談していたスザクが突然動きを止めた。
それまでの優しい笑顔に代わり、常にない厳しい表情を見せる。

「…軍総司令本部への回線をオープンにしてください」
「え?」
「緊急事態です。一秒を争います。早く!」
「はい!」

触れるものを総て切るような纏う気の鋭さに、ブラウンは弾かれるように席を立った。

スザクの迫力に押された。
大人と子供ほどの年齢差があるのに、彼の言葉に従うことをごく自然に受け入れていた。

スザクの肌に直接感じる圧力。これは、ナイトメアフレームの、駆動に関わる空間への影響だ。
ろくに戦闘もない現代では、体験することもほとんどなくなっている。

だが。
スザクの感覚も気迫も、生きるか死ぬかの瀬戸際を生き抜いたもののそれ。
スザクにとってはその最前線の戦闘から半年も経っていないのだ。

ブラウンはだてに『図書館の主』と言われているわけではない。直通回線を開くなめらかな彼女の作業を確認しながら、スザクは校内に向かう緊急時の一斉放送をオンにした。

上下のはっきりしている縦社会の軍において、個人の独断による単独行動は本来忌避されるものだ。しかも、スザクの行動の根拠は己の感覚だけだ。
何もなかった場合は、始末書だけでは済まない。

だが。自分の勘違いならそれでいいとスザクは思う。その場合は自分の首を差し出せば良いだけだ。

今はルルーシュの騎士としての肩書きもないから、スザクは気楽だった。責任なら自分一人が負えばいい。

『敵機来襲! 総員、最寄りの入口から地下シェルターに退避! 繰り返す! 総員、地下シェルターに退避!』

スザクがマイクに向かって命ずる声に被るように、ブラウンの悲鳴が上がった。

「所属不明の、機体がっ! …数機っ! こちらに向かってますっ!」

回線を開くと同時に広げた通常レーダーが、識別信号を出していない機影を感知した。





緊急放送のスイッチが入った瞬間、ほとんどの学生は突発の訓練だと思った。
それほどに今は戦闘とはほど遠く、平和だった。
しかし、放送の指示に従い、最寄りの地下シェルター入口に向かう学生たちの行動は迅速だ。

セイリュウもまた、授業を受けていた4階の講義室から、教官の指示に従い友人たちと一緒にエレベーターではなく階段を使って地下に向かう。

「な。あの放送って枢木講師だろ?」

2週間前に着任したばかりであるが、スザクの人気は高い。
腕力自慢の20前の健康な男子が多い士官学校において、…数少ない女生徒よりも儚げに見えるスザクはその外見だけでも十分偶像視されている。
その上に、優しくて努力家なのは明白な事実。これで人気の出ないはずはなかった。

スザクの話題をセイリュウに振るのは、スザクとセイリュウに明確な血縁関係が見えるからだ。

「俺に聞くな」

セイリュウは不機嫌に一言吐き捨てた。

スザクは実を言うと遺伝子上のセイリュウの父親である。
ただし、コールドスリープの永い眠りに就いていたスザクの現在の肉体年齢は23だ。
混血のセイリュウと異なり、生粋の東洋人であるスザクの外見年齢は実年齢よりさらに若く見える。
周りからは、従兄弟程度にしか見えない。

どれだけ複雑で深い確執を抱いているかなど、本人以外には理解できないだろう。

「…お前って相変わらず…」

悪友の言葉は聞こえないふりをしてセイリュウは足を進めたが。
その時。

閃光と衝撃。
ほんのわずか遅れて爆音と衝撃が空間を揺るがした。

防弾強化ガラスのはまった窓も窓枠ごと砕ける。
鉄の匂いとうめき声があちこちで上がる。

なんだ、これは…

『班ごとに人員を確認! 負傷者を救助!! 地下シェルターへ向かえ!』

瞬間生じかけたパニックを、力強く冷静なその声が抑える。

スザクに対して反発を感じているセイリュウさえも、その声に安堵していた。
確かに、彼はルルーシュ大統領閣下とともに、一番激しい戦乱の時代を最前線で戦い抜いた騎士なのだ。
悔しいが、その事実は認めざる得なかった。

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